2020年02月12日 公開

糖尿病でも運動習慣があれば要介護リスクを減らせる

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 たとえ2型糖尿病にかかっていても定期的な運動習慣がある人では、要介護状態に陥るリスクを糖尿病でない人と同レベルまで減らせることが分かった。新潟大学血液・内分泌・代謝内科学教授の曽根博仁氏らの研究グループが、新潟県三条市の医療ビッグデータを統合解析した研究から明らかになったもので、詳細は英医学誌BMJ Open Diabetes Res Care2020年1月24日オンライン版)に報告された。

約1万人の特定健診、レセプト、介護保険データを統合解析

 超高齢社会を迎えた日本では、平均寿命と健康寿命に男性で約9年、女性で約12年の差があり(厚生労働省「2016年版高齢社会白書」)、要介護状態に陥る高齢者を減らすことが課題となっている。2型糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病および運動不足は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患と死亡のリスクを高めることが知られているが、これらの因子と要介護状態の発生との関連を検討した大規模研究は少ない。

 そこで曽根氏らは今回、三条市の特定健診、レセプト、介護保険のビッグデータを統合して解析し、生活習慣(病)と要介護状態に陥るリスクとの関連を検討した。

 対象は、2012年10月~15年3月に特定健診を受けた三条市在住の成人1万1,469人(39~98歳)のうち、受診時に冠動脈疾患、脳血管疾患、身体機能障害がなかった9,673人。2017年3月まで少なくとも2年間追跡調査し、①要介護状態の新規発生②運動習慣(1日30分以上の軽く汗をかく運動を週に2回以上1年間継続)と生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)が要介護リスクに及ぼす影響-について検討した。

糖尿病で運動習慣がない人は、要介護リスクが3.2倍に

 3.7年の追跡期間中に165人が新たに要介護状態に至った。年齢、肥満、高血圧、脂質異常症、喫煙など身体機能低下と関連する因子の影響を調整して解析した結果、要介護リスクの増加と関連する因子として糖尿病(1.74倍)、運動習慣なし(1.83倍)、BMI(体格指数)18.5未満(1.63倍)、加齢(5歳上昇するごとに2.48倍)が特定された。

 要介護リスクを高める因子(糖尿病、高血圧、脂質異常症、運動習慣なし)を1個も持たない人に対し、2個持つ人で2.0倍、3個の人で2.1倍、4個の人で3.9倍にリスクが増加した。

 一方、糖尿病と運動習慣の有無で4グループに分けた解析では、糖尿病なし/運動習慣ありグループに対し、糖尿病なし/運動習慣なしグループで1.8倍、糖尿病あり/運動習慣なしグループで3.2倍に要介護リスクが増加したが、糖尿病あり/運動習慣ありグループでは増加傾向が見られたものの統計学的に意味のある変化ではなかった。すなわち、糖尿病患者であっても運動習慣があれば、要介護リスクを糖尿病でない人と同じレベルまで減らせる可能性が示唆された。

 曽根氏らは「今回の研究から、心血管疾患や死亡リスクだけでなく、介護予防の面でも生活習慣病の予防に加え運動習慣を持つことの重要性が示された」と結論。「今後も要介護状態の発生を予防し、健康寿命の延伸に寄与する因子についての検討を進めていく」と展望している。

(あなたの健康百科編集部)