2020年02月19日 公開

健康的な睡眠で心血管疾患になりにくく

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 睡眠と健康の関連性がまた1つ新たに示された。米・Tulane UniversityのMengyu Fan氏らは、英・UK Biobank登録者38万人超を対象に心血管疾患(CVD:心臓病や脳卒中など)の遺伝的なリスクや睡眠パターンとCVDの発症リスクとの関連を検討。その結果、CVDの遺伝的なリスクが高い人でも、睡眠パターンが健康的であればCVDの発症リスクは低下する可能性があると欧州心臓病学会誌Eur Heart J2019年12月18日オンライン版)に発表した。

朝型、7時間睡眠などでCVDリスクが35%低下

 Fan氏らは、CVDを発症していない健康なUK Biobank登録者38万5,292人を対象に、睡眠パターンと遺伝的リスクがCVDの発症に及ぼす影響を検討した。約8.5年間の追跡調査で、新たにCVDを発症したのは7,280人〔冠動脈性心疾患(CHD:狭心症や心筋梗塞など)4,667人、脳卒中2,650人〕だった。

 まず、睡眠パターンによる影響を調べるに当たり、対象者が5つの項目(①生活リズム②睡眠時間③不眠④いびき⑤日中の過度の眠気)について回答した内容から、その睡眠スコア(範囲0~5点)を算出。4点以上を健康な睡眠パターン(①生活リズムが朝型②1日の睡眠時間が7~8時間③不眠なしまたはまれ④いびきなし⑤日中の過度の眠気が低頻度)とし、こうした項目に該当しない、あるいは該当する項目が少ない0~1点を不健康な睡眠パターンと定義した。

 解析の結果、不健康な睡眠パターンの人と比べて、健康な睡眠パターンの人ではCVDで35%、CHDで34%、脳卒中で34%リスクが低下した。

遺伝的なリスクが低くても不健康な睡眠でリスク上昇

 次に、CHDおよび脳卒中と関連しているとされる個人間の遺伝子の違いを調べ、CHDと脳卒中の遺伝的なリスクの程度を算出。高リスク群、中等度リスク群、低リスク群に分類した。

 その上で、先述した睡眠スコアと遺伝的なリスクの複合的な影響を検討した。その結果、遺伝的なリスクが低く健康な睡眠パターンの人(対照群)に対し、遺伝的なリスクが高く不健康な睡眠パターンの人ではCHDのリスクが2.5倍超、脳卒中のリスクが約1.5倍に上昇していた。

 一方、遺伝的なリスクが高いものの健康な睡眠パターンの人では、対照群に対するリスク上昇はCHDで2.1倍、脳卒中で1.3倍にとどまった。

 また、遺伝的なリスクは低いものの不健康な睡眠パターンの人では、対照群と比べてCHDのリスクが1.7倍、脳卒中のリスクは1.6倍に上昇していた。

 研究責任者で同大学のLu Qi氏は「今回の研究だけで睡眠とCVDリスクとの因果関係は証明できないが、CVDの発症リスクを評価する際は、睡眠習慣の評価も加える必要があることが示された」と述べている。

英国の中高年約50万人の健康に関するデータを集め、病気の予防や診断、治療の向上を目的に行われている共同研究プロジェクト

(あなたの健康百科編集部)